押韻と平仄

普通は「平」で押韻するものなので、「平」の種類だけまずは覚えればよい。 「平」にも字が多く含まれるグループと少ないグループがある。 上平声だと「支」「虞」、下平声だと「先」「蕭」「陽」「尤」など。 選択肢が多い方が押韻しやすくなる。

たとえば「先」には千、天、煙、田、年、禅、眠、然、川、伝、辺、遷などが含まれていてわりと押韻しやすい。 日本語の読みの類推もしやすい。 永井荷風の詩書剣十年唯自憐もその一例だ。

「東」は日本語読みの直観が、それほどききやすくない。 音は -ung なので、「東」はトゥン、「中」はチュン、「空」はクン、などと発音したのだろう。

さほど多く無いが「歌」などは日本人でも直観的にわかりやすい。 歌、多、河、戈、阿、和、波、科、他など「ア」の音で押韻してる。 平声は現代普通話の第一声と第二声で、高いか、おしりが高いかだから、要するに、 イントネーションで言えば高い音なわけで、 「歌」のグループはつまり高い「ア」だと思えばよい。 仄声は、低いか下がるかなわけだ。

で、唐代の詩などで押韻の例を調べて、それを真似るとさらに簡単になる。 一句まるごと借りてくると、そこにはすでに平仄が決まっている(平仄平か仄平仄か)から、 残りの三句の平仄も粘法反法に従って自動的に確定する。 割と便利だ。

平仄を合わせるのは、とりあえず、「平」の字の主なものを丸暗記すると良いだろう。 それ以外は「仄」なのだから。 平仄を暗記するのは、中国語を学ぶのにも役に立つ。無駄にはならない。 ある程度平仄を覚えておいた方が、漢詩を作るのには便利だ。 まったく知らずにやるよりはるかに良い。