トゥーンレンダリング

たまにはCGの話でも書こうかと思うのだが(笑)。

Low Poly Interactive と改名してから、ずっと漢詩ばかりやってたからな。 何の研究室なんだいったい。

脳は、現実世界をそのまま認識しているのではなく、何らかのフィルタを通して見ているはずだ。

そのフィルタを、わかりやすいように、マンガフィルタとかアニメフィルタと呼ぶことができるだろう。 つまり、脳は、現実世界を前処理としてマンガフィルタに通し、それを認識している。 つまり、脳は、というか人間の精神は、ほんらいファンタジー、仮想の中にいる。 マンガやアニメはそのフィルタ部分を通す必要がないから脳に負担がかかりにくい。つまり、読みやすく見やすい。

幼児や子供らは、このフィルタが未発達なので、じゃあ現実をそのまま脳が処理するかというと違って、 脳のファンタジーが逆に現実世界に投影されてしまうのだろう。 だから、妖精が見えたりするのだ。

世の中には3Dよりは2D、実写よりはアニメ絵、CGよりは手描きを好む人がいる。 もちろんその逆の人もいる。 それはつまり、フィルタ部分が強い人弱い人がいるからだ。 強力なフィルタを持つ人は現実世界をがしがしフィルタに通す作業をむしろ快感と思う。 フィルタの弱いひとは、できるだけ誰かが加工してくれたファンタジーな情報を好む。 そんなところなのではなかろうか。

たとえばだが、3Dにはトゥーンレンダリングというのがあって、ディズニー的には美女と野獣あたりで、 日本アニメ的にはアップルシード辺りで一応の完成を見た、というのが一般的な見方かと思う。 トゥーンレンダリングとは古典的なシェーディングを使わず、シェードを何段階かに抑えて、エッジを描くという手法。 だが、問題は、人間の脳は、顎の輪郭と鼻梁にできる輪郭と目の輪郭これらをすべて別々に認識している。 すべてを同じエッジ検出で処理して同じように輪郭を描画すると違和感を生じるのだ。 だから、トゥーンレンダリングにはまだ残された課題がある。 まず、エッジを、顎、鼻、目などにこまかく分類して、それぞれに最適なエッジ描画をほどこす。 手描きのアニメ絵はそういうことを人間が無意識に行っている。 トゥーンレンダリングはいまだにそこまで行ってはいない。