web開発・制作の時代推移

思うのだが、PCから携帯端末へのシフトやらSNSの普及と同時に、 WebコンテンツとかWebサイトとかいう漠然としたものから、 アプリとか追加コンテンツの方へ、シフトしてきていると思うのよね。

つまり、php + mysql + javascript でなんかサイト作ろうとか、 そういうおおざっぱな授業というか演習ではなくて、 iphoneandroidpsvita などのプラットフォームごとのアプリ開発とかね。 学生の関心自体がすでにそちらに移ってきているし、 教員もそちらの方を教えたがるようになってきたような気がする。

webサイト構築というのはもはやものすごく大規模な開発になってきていて、個人の手に負えない。 昔は、webサーバー立ち上げるのも、サイト開設するのも個人でできた。 が、そういう一人でなんでもやるみたいな、個人商店みたいなやり方は今ではかなり難しく、 そういう個人製作レベルはアプリ開発みたいな分野に移行してきているのじゃなかろうか。

アプリが開発できるかどうかはそれぞれのプラットフォーム固有のSDKとか言語とかを知ってるかどうか、 なのであって、 webサイトとは何か、みたいな広大なテーマではないのよね。 いや、昔はそんな広大なものじゃなかったはずだが。

逆に昔は一人ではできなかったようなことが一人でできるようになってくる。 DTP とか DTM とか映像制作などがまさにそうだ。 つまり、あるものはだんだん規模が大きくなって個人ではできなくなってしまう。 だがあるものは、ソフトウェアの発達に伴って全行程を個人でできるようになる。 10年もたつとどれが個人制作に適しているか、ということがまるで変わってくる。

学生の課題というものは、個人制作の方がはるかに教えやすいし評価しやすい。 きちんとマネージメントすればグループ制作の方がクオリティの高いものができるが、 うまくやらないと、あまり働かない学生が出る。 また、成績評価は結局個人でやるから、個人がどのくらいプロジェクトに関わったかまで考慮して評価しなきゃならんわけだが、それってけっこう難しい。

で、如実に感じるのはweb教育ってなんか難しくなったなということと、 アプリみたいな制作は自分自身はあまり興味ないなってこと。 web制作がアプリ制作になってしまうのであれば私はそちらに行くよりも、 CGやってるほうがいいかな。 やっぱ個人でやるのに適しているものは明らかにある。 自分としてはどうしても一人で完結できる世界に引かれてしまう。

たとえば、今、Webサイト構築しましょうという話になると、どうしても、 SNS 作ろうとか言う話になりがち。 たとえば、自分の作ったので言えば、漢詩作成支援ソフト平仄くんだが、 これも漢詩作成投稿サイトにすることもできて、たぶんその方が面白い。 しかし、匿名掲示板みたいにするとセキュリティ的には怖い。 普通のSNSにしてもおかしなコンテンツ投稿されたらサイト管理者が削除せにゃいかん。 規約違反報告ボタンを付けるのも良いだろうが、結局は誰かが管理しなきゃならん。 ユーザー管理や個人情報保護なんかもやっかいな問題だ。 訴訟沙汰になったら法務部が必要だ、 とかいろいろ考えると、昔みたいに思いつきで掲示板開設して交流サイト構築、 などというような軽々しいことはできないわけですよ。

たとえばウィキペディアも最初はただの wiki だったのだろうが、管理人とか自治組織とか、 次第にそんなものが必要になってくる。 wiki 技術自体は簡単でも wiki を管理運営する手間が馬鹿にならんのですよ。 そう考えてくると、もう、誰かが管理しているサイトなりでアプリ開発した方が個人はずっと楽。 サイト様が検索リストに載せてくれて販売までやってくれる。 どうしてもそっちの方へいくよりないと思う。 個人で SNS とかまあどうがんばっても無理なわけですよ。

おんなじことはやはりサーバーたててうんぬんということにも言えて、 自分でサーバー立てるよもクラウドにしちゃった方が良い。 もはや個人でどうにかなる時代じゃなくなってしまった。 そうなっちゃったところというのは、ベンチャー起業とか、個人制作活動にはもはや向かないのよね。