平仄くん

平仄くんjavascript (jquery) 部分がだいぶ進化した。 マウスオーバーによって、押韻している箇所がわかる。 さらにその韻と同じ漢字の一覧が表示される。

平仄と押韻を調整しながら、漢詩を作ることができるのだよ。

漢字の辞書はまだ完全とは言えない。 スマホのアプリとして、完全な漢字辞書付きで平仄くんを作ると便利に違いない。 どこでもすぐにきちんと平仄があった漢詩が作れる。 そしてそれをそのままツイッターでつぶやく(笑)。 すげえ。

コンサイスな漢和辞書を探したのだが、どれも平仄がついてない。 平仄を載せているのは角川「新字源」などほんの一部だ。 韻目表は載っているけど、韻字一覧を載せているものはなく、 漢字一覧に平仄を載せているものもない。 あると便利なんだが、あるわけないわな。 角川「新字源」はもう二十年以上愛用しているが、平仄とか現代中国語の音とか、 ずっと「なんじゃこりゃわけわからん」としか思わなかったし。

漢詩を作るには、まず、五文字か七文字の一つの句を作ってみる。 それを四つ集めて平仄と押韻を合わせる。 ただそれだけだ。さあ、やってみよう。

李白静思夜だと、 一二四が平で押韻し、三が仄。 王安石梅花もまったく同じ。

北条時頼春流は二四が平で押韻。一三は仄。 吉田松陰辞世もこのタイプ。

どういうわけかは知らないが、転句末字は仄の場合が多い、というか仄でなければいけないのか。 五言の場合は、仄平仄平・・・という繰り返しになっていることが多い。 まあそんなわけでそういう風に試しに作ってみた。五言絶句。題して 相州早春賦

冬天無雨水
風漸従東来
滴滴聴晨響
日昇看雪堆

「雪堆」というのはつまり「雪の山」。 中国語辞典によれば「土堆」(土の山)、「柴火山」(薪の山)、「書堆」(本の山) などという言い方があるようだから、たぶん大丈夫だろう。

起承転結の末字は、水(仄)来(上平声10灰)韻(仄)堆(上平声10灰)。 「灰」で韻を踏んでいる。 二四不同、反法・粘法でいくと、起句と結句では二が平(「天」と「初」)、四が仄(「雨」と「雪」)。 承転では逆に二が仄(「漸」と「滴」)で四が平(「東」と「朝」)。 あとは、仄に挟まれた平(特に四字目)や冒韻はダメ。 それもなんとかクリアしてるよな。

ヒマなのでもう一つ作った。 厭喧躁

犬喧車険躁 犬は喧(やかま)しく車は険躁
掩耳飛機轟 耳を掩う 飛機の轟(とどろ)き
願脱紅塵境 願わくは 紅塵の境を脱し
惟聴歓楽声 ただ歓楽なる声を聴(き)かむ

書き下しがむしろ難しい。 飛行機、または航空機は、中国語では機または飛機であっているようだ。 元ネタ(?)は陶淵明飲酒道元山居