服部南郭

「夜下墨江」服部南郭

金龍山畔江月浮
江揺月湧金龍流
扁舟不住天如水
両岸秋風下二州

夜、隅田川を下る。

金龍山浅草寺のほとり、川に月が浮かぶ。

川は揺れ、月は沸き、金の龍が流れる。

小舟は留まらず、天は水のようだ。

両岸に秋風が吹く、武蔵と下総の二州の間を下る。

服部南郭はもとは京都の商人の息子。 それにしてはずいぶん江戸を気にいったようだ。 隅田川に金の龍が流れるとはよくもぬけぬけと言ったものである。 父の死後、江戸に赴き、荻生徂徠の弟子となる。

押韻はしているが、平仄が少しおかしい。 いわゆる、二四不同、二六対にはなっていない。 結句の「両●岸●秋○風○下●二●州○」は良く整っているのだが。

有名なのはこの詩だけのようだ。